野口晴巳『能率手帳の流儀』(日本能率協会マネジメントセンター, 2007年)
能率手帳に関するハウツー本と思いきや、もっと含蓄のある本である。もっと言えば、手帳界隈(?)では広く知られた本でもあるので、再販を期待したい。
手帳を使って振り返ること
一昨年ぐらいから、手帳は複数冊を使っているが、少なくとも手帳の機能は2種類に大別できると思っている。
ひとつは”スケジュール帳系”。未来の予定を書く手帳である。一般に「手帳」といえばこちらが浮かぶ方が多いのではなかろうか。
そしてもうひとつが、”日記帳系”。実際に起きたことを書く手帳で、ほぼ日手帳(特にカズンとか)はこちらの使い方がされることが多い気がする。
勿論、ジブン手帳*1のように、どちらにも使える手帳もあるにはあるし、具注暦などはどちらともとれるのかもしれない。
さて、能率手帳の流儀は、使い方としてはこの両方が混雑しているものの、著者としては振り返ることに重きを置いていることから、どうも"日記帳系"を意識しているらしい。
手帳でなくてはいけない理由
日記そのものについては実は私も数年前から書いているのだが、確かに心を静める効果もあるし、無限ループする毎日に、意味を与えてくれる。
しかし、能率手帳の流儀では、かなり頻繁に書いた手帳を振り返っているし、やりたいことリストを作ったり、花丸を書いたり、なんでも書きなぐったり、一般の日記帳ではできないこともだいぶしている。そうやって考えると、やはり日記帳でなくて、手帳でなければいけない理由があるのだろう*2。
ところでこの本、内部に一切図解がないのだが、著者の野口氏の手帳については、日経BPに写真がある。
……日記とはだいぶ違うようだ。
能率手帳のこだわり
一方、第6章では、能率手帳そのものについての話題があるが、ここを読めば、能率手帳を使いたくなること請け合いである。
例えば、罫線の色。能率手帳1では緑色だが、目に優しい色としてフランクリンプランナーが緑色を導入したのはつい最近のことである。このことに、能率手帳はずっと前から気づいていた、ということになる。普及版の能率手帳は1000円程度と、手帳界隈でも特別高価というわけではないのだが、細かいこだわりと歴史の積み重ねに感服である。
著者は文中で、能率手帳の流儀は能率手帳以外でも実現できるととんでもないことを言っているが、読んだらきっと能率手帳を手に取りたくなること請け合いの一冊である。